開催レポート/ソノノチ×Robin Owings『あなたはきえる』

2023年7月に開催したソノノチ×Robin Owings『あなたはきえる』の開催レポートを作成しました。

今回はかつて織物工場だったアトリエみつしまで、またひとつソノノチにとって大切な作品が生まれました。

ソノノチ×Robin Owings『あなたはきえる』 開催レポートはこちら(1.4MB)からダウンロードできます。
※無断での編集・転載はご遠慮ください。

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【終了御礼】ソノノチ×Robin Owings『あなたはきえる』

ソノノチ×Robin Owings『あなたはきえる』
京都での上演とインスタレーション展示を終えました。

かつて織物工場だったこの場所から、またひとつソノノチにとって大切な作品が生まれました。
お越しいただいた皆さんや、ご支援・ご協力くださったみなさんに感謝でいっぱいです。

今回のパフォーマンスを振り返る上演レポートを、9月上旬を目処に作成しています。
完成しましたら、ソノノチのwebサイトなどに公開予定ですので、ご覧いただけますと幸いです。

また、2023年はソノノチにとって【10周年】という特別な年です。
この後も皆さんと様々なかたちでお会いできるのを心待ちにしています。

私たちは、すでに本番という日常から、それがない日常へと移ってきています。
すこしばかり、名残惜しさを抱っこして。

ソノノチは次につづきます。


もっとこの作品のことを知りたい方へ、ソノノチオンラインショップで上演のパンフレットを販売しています。創作プロセスを写真やコラムで綴ったパンフレットです。ぜひご覧ください。https://sononochinochi.stores.jp/

(撮影:脇田友)

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ソノノチ×Robin Owings『あなたはきえる』

構成・演出|中谷和代
美術制作|Robin Owings
出演|藤原美保、芦谷康介、宇津木千穂、岸本昌也、筒井茄奈子

日程|7月20日(木) -23日(日)

場所|アトリエみつしま Sawa-Tadori


わたしには、乳歯はもう二度と生えてこない。
逆上がりができたとき。白髪あるよ、と初めて言われたとき。
人を好きになったとき。大切な人を失ったとき。
あのとき、どんな気持ちやったんかな。

季節が過ぎるように、わたしたちは新陳代謝を繰り返しながら、日々ゆっくり、ゆっくりと変化していく。その中で、どこかに忘れてきた“わたし”のことを考える。彼女たちは薄いカーテンの重なりの向こう側にいて、そのほとんどが、いつか見えなくなるだろう。

そういえば。ふと思い出す。
かつてのわたしは、いつまでも変わらないために、忘れないために作品をつくっていた。
だけど今は、そうではない。

すべてがカーテンの向こうへ行ってしまったとしても、彼女たちがわたしの一部になっていると信じることができるとき。
あなたはきえる。わたしもきえる。
もっと遠くへ、漕ぎ出すために。

お越しくださり、ありがとうございます。
これまで共に考え、経験を共有してくれたRobin Owingsと、クリエイションメンバーに心から感謝します。

ソノノチ 中谷和代
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My baby teeth will never grow back.
The moment I managed a pull-over on the bar.
The moment someone noticed a gray in my hair.
The moment I fell in love. The moment I lost someone dear to me.
I wonder, what was I feeling in those moments?

We, with out bodily metabolism slowly, slowly change, like seasons passing by. Amidst all of it, I think about the “me” I left behind somewhere. They are behind the thin, overlapped curtains, and will, most likely, vanish from sight someday.

Wait. I suddenly remember.
In the past, I used to make pieces to stay the same, to never forget.
But now, that isn’t the case.

The moment I can trust them to be part of me, even when everything is behind the curtain. You will disappear. I will disappear too.
It’s all to paddle out even farther.

Thank you for being here today.
I’d like to express my gratitude to Robin Owings and everyone on the team, who have shared their thoughts and experiences with me throughout the creative process.

Kazuyo Nakatani (Sononochi)


Fabric is the material closest to the body. It holds in the heat from our lives like a diary, and tells the story back to us. I like the way our clothes, our curtains, our sheets become artifacts of our lives, like landscapes. Fabric is sensual, something we want to instinctively touch, because it is always touching us. Until we are gone.

Used fabrics bring up feelings of loss and wonder for me, the same way I used to feel in my grandmother’s closet and her stash of fabrics and clothing patterns, unfinished projects, daydreaming. We disappear, and for a time, our mark remains in the world, in the people and places and objects whose lives we have touched in our lifetime. We eventually disappear when those relationships no longer remain- at least, not in a form we recognize.

For me, there is something magical in this transition between being and non-being, kind of like the way sunrise and sunset are exquisitely beautiful times of day. It is the point of fading. The fragility and temporality of life fills me both with awe and joy, which inspires me to be more present in my own life.

Robin Owings

———
布は身体に最も近い素材である。布は、私たちの生活の熱を日記のように保持し、その物語を私たちに伝えてくれる。私は、服やカーテン、シーツが私たちの生活の遺跡になり、風景のようになるのが好きだ。布は感覚的で、本能的に触れたくなるものだ。なぜなら布はいつも体をさわっているから。私たちがいなくなるまでは。

使い古された布は、喪失感と驚きを私にもたらす。祖母のクローゼットや彼女の隠された布地や洋服の型紙、未完成のプロジェクト、白日夢を見ていたときと同じように。私たちが姿を消しても、しばらくの間、私たちの足跡は、私たちが生きている間に関わった人々や場所、物の中に残る。そのような関係がなくなると、私たちはやがて消えてしまう。少なくとも、私たちが認識できる形では。

私にとって、存在と非存在の間のこの移行には、何か不思議なものがある。日の出と日没が一日の中で絶妙に美しい時間であるのと似ている。色あせる瞬間。人生のはかなさと一時性は、私を畏怖と喜びで満たす。それは私自身の生活において、よりいっそう今この瞬間にいるよう私を鼓舞する。

ロビン オウィングス


【クレジット】
舞台監督|脇田友、村田瞳子
演出部|neco
楽曲製作|瀬乃一郎
衣装|清川敦子
宣伝美術|ほっかいゆrゐこ
制作部|渡邉裕史、田中直樹、永澤萌絵
アーカイブ|柴田惇朗

協力|一般社団法人フリンジシアターアソシエーション、原泉アートプロジェクト、サファリ・P、スピカ、劇団三毛猫座、廃墟文藝部、日向花愛、森岡りえ子

主催・製作|ソノノチ/合同会社nochi

supported by KAIKA 芸術文化振興基金助成事業

上演情報/ソノノチ 新作上演(2023年7月20日〜23日)

【結成10周年企画】

ソノノチ×Robin Owings『あなたはきえる』

川の流れと同じように、私たちは刻々と変化し、生まれ変わっているのだとすれば、ひとつ前のあなたはきえていて、今のあなたもやがてきえる。きえたものが撚(よ)り合って、あなたになる。あなたはきえてしまったものでできている。

ソノノチの最新作は、Robin Owings制作のインスタレーションとの共演。かつて織物工場だったこの場所から、無常の風景へ漕ぎ出すように。ランドスケープシアターに続く、新作パフォーマンス作品。

(チケット購入:https://sononochinochi.stores.jp

※タイトル表記を、当初は『あなたは きえる』としておりました。ただ、創作をすすめて作品が実際に姿を現すごとに、タイトルは『あなたはきえる』とするのが、この作品のあり方に一番ふさわしいと思えるものになり、タイトルを修正しております。


ソノノチ×Robin Owings『あなたはきえる』

構成・演出:中谷和代
美術制作:Robin Owings
出演:藤原美保、芦谷康介、宇津木千穂、岸本昌也、筒井茄奈子


一本の糸があって
ふれそうで ふれずにいた
聞こえるけど 聞かずにいた
見ないふりをして ないものとした

ひとつ前の あなたはきえる
あざない よりそい むすべたら


【上演日時】2023年

7月20日(木)17:00★
7月21日(金)13:00/17:00*1
7月22日(土)13:00*2/17:00
7月23日(日)13:00

※受付開始・開場は開演の30分前
※上演時間|約60-65分(予定)
※各公演終了後に物販を行います
★終演後、オープニングレセプション(お祝い会)あり

ポストパフォーマンストーク|
*1 21日(金)17:00の回
ゲスト:高木日向子さん(作曲家)
*2 22日(土)13:00の回
ゲスト: Robin Owingsさん(本作美術制作)

●インスタレーション展示
開廊時間|
7月21日:14:00ごろ〜16:00
7月22日:10:00〜11:30、14:00ごろ〜16:00
7月23日:10:00〜11:30
*各上演回の終演後にもご覧いただけます。インスタレーションのみの鑑賞は無料です。

【場所】
アトリエみつしま Sawa-Tadori(京都市北区紫野下門前町44)
《アクセス》
京都市バス 「大徳寺前」徒歩3分
京都市営地下鉄・烏丸線「北大路」駅 徒歩17分

【料金】
・一般:3,000円
・25歳以下:2,500円
・高校生以下:1,000円(前売・当日とも)
・祝!10周年チケット[縁]:5,000円(限定ノベルティグッズ)
・祝!10周年チケット[結]:10,000円(お礼の手紙+限定ノベルティグッズ)
・ツアー応援チケット:100,000円(限定ノベルティグッズ+当日パンフお名前掲載+上演映像付き)*支援いただいた金額は、他地域でのツアー資金に充てます。

※当日券は +500円(一般・25歳以下)
※各ステージ先着30名様限定

【チケット窓口】
ソノノチ オンラインショップ[事前精算/各種クレジットカード・コンビニ等]
https://sononochinochi.stores.jp

WEBフォーム(Corich)[当日精算]
https://ticket.corich.jp/apply/262907

メール[当日精算]
希望公演日時/お名前/券種/人数/ご連絡先を明記の上メールをお送りください。こちらからの返信を以てご予約完了となります。

チケット予約開始日:5月26日(金)


【あなたはきえる】オープニングレセプション参加券

展示と上演の世界初演日!ささやかですがレセプション(お祝い会)を行います。この特別な日にメンバーと乾杯をしたり、作品の感想を一緒にお話しましょう。ぜひご参加お待ちしております!

日時:7月20日(木)18:30-19:45くらい(途中、入退場自由)
※ソノノチ×Robin Owings『あなたはきえる』上演のチケットを購入されている方のみご参加いただけます。当日上演をご覧になっていない方でも、すでに別日の上演チケットを購入済みの方はご参加いただけます。
※当日、体調の優れない方のご参加はご遠慮ください。

参加費:1000円(ドリンク代)
※フードはありません。

申込み:https://sononochinochi.stores.jp/items/64874f96057a680033e65d94


【終了しました】本番会場での公開リハーサル鑑賞券 (10枚限定)

本番と全く同じ形ではありませんが、本番会場で作品の進行状況をご覧いただけます。また、リハーサル後には、皆さんからのご感想をぜひお聞かせください。

日時:7月15日(土)15:30 スタート ※上演時間 1時間ほど
場所:アトリエみつしま Sawa-Tadori(京都市北区・大徳寺そば)
料金:800円
申込み:https://sononochinochi.stores.jp/items/64874f00c49f18002feec2c0


【お問い合わせ】
ソノノチ
電話:050-5318-7717(制作)/メール:info@sononochi2.sononochi.com


●プロフィール
ソノノチ

旅するパフォーミング・アート グループ。近年はインスタレーションの手法を用い、屋外や空き家での上演をはじめ絵画・音楽・建築など他分野のアーティストとのコラボレーションを行う。2020年より、全国各地の風景を舞台機構としてとらえ、遠景から眺めるように鑑賞する「ランドスケープシアター(風景演劇)」を発表。静岡/HARAIZUMI ART DAYS!2019〜2022、愛媛/とうおんアートヴィレッジフェスティバル(2021年)などに招聘される。

(撮影:中谷利明)


Robin Owings

1991年米国アラバマ州出身。幼少期に合気道を始める。大学で人間生態学、植物学、美術を専攻。絵画・音楽・インスタレーション・パフォーマンス等様々な芸術作品を制作。2015年に来日。合気道を続け、自然とアートを子ども達と体験することに力を入れている。HARAIZUMI ART DAYS!2020〜2022にアーティストとして参加。
http://www.robinowings.com

(Robin Owings)

●クレジット
舞台監督:脇田友
演出部:neco
楽曲製作:瀬乃一郎
衣装:清川敦子
宣伝美術:ほっかいゆrゐこ
制作部:渡邉裕史、田中直樹、永澤萌絵
アーカイブ:柴田惇朗

協力:一般社団法人フリンジシアターアソシエーション、
原泉アートプロジェクト、サファリ・P、スピカ、
劇団三毛猫座、廃墟文藝部、日向花愛、森岡りえ子

主催・製作:ソノノチ/合同会社nochi

supported by KAIKA 芸術文化振興基金助成事業